2022/08/29

CHUWI MiniBook X レビュー ~ コスパに優れたちょっと小型ノートPC

ということで、ドンキPC がかなり残念な結果だった。バッテリーの問題さえ無ければ使い続けてもよかったのだが、正気を疑うほどの完成度だったので、近々メルカリしようかと思っている。

そんな中、実家の帰省時に Surface Go(初代)を持ち帰って触ってみるに、やはりいろいろ難があった。画面の横幅が FHD(1920ピクセル)分なく、ブラウジングに不便であった。

というところで、まともな UMPC を入手せねばなるまい。人生には UMPC が必要なのだ。いや、まぁ、14インチ以下のモバイルノートでいいんだが。

ということで、なんか Amazon で検索すると、ありえんだろうという低スペックな変態中華 PC がちらほら見つかる。そんな中、ある程度著名なメーカーである CHUWI(ツーウェイ)から、そこそこのサイズの PC が出ていることを知った。なんだよ、チューウィーじゃなくてツーウェイなのかよ。

それがこの MiniBook X である。

世の中から消えつつある、約11インチ(10.8)サイズの画面で、ちょっと変態なキーボード。CPU もメモリ、ストレージも十分なスペック。これは買うしかあるまい。


ということで Amazon から着弾

■CHUWI について

日本で CHUWI という名がちらほら目に入り始めたのは、2017年ごろである。リリースがニュースサイトに載り始めたものの、その製品が MacBook Air クローンで安価な Windows ノートPC とは、いかにも中華メーカーらしい。パクリ製品を堂々と発表する度胸はたいしたもんであった。恐らくは、各社にプレスリリースを出したんだろうなーという感じであるが、そんなもん取り上げんなよという気もしていた。

それからも、UMPC や小型PC、タブレットなどを定期的に発表し、一定の認知度を得ている。HUAWEI、OPPO、Xiaomi などのスマートフォンが、日本の携帯電話キャリアにも採用され始めた時期でもあり、似たような響きの為「そこそこのメーカーなんだろうな」という雰囲気に。

とはいえ、見事な中華メーカーであるため、商品紹介ページの画像はイメージです状態である。実際の製品ができる前のコンセプトの状態で写真をバリバリ加工して作成しているため、外見写真から何からサイトの記述は本当にあてにならない。


開封してみたところ、いたってシンプル。ACアダプタに、1枚ぺらを折り畳んだ多国語マニュアルにカード型の保証書といったところ。
ACアダプタの外装やケーブルがかなり安価な素材という感じだが、爪は折り畳めるのでなかなかよろしい。


ACアダプタは安っぽい
マニュアルのスペック表
■Spec.
CPU  Celeron N5100(1.1GHz~2.8GHz) 4コア/4スレッド
LCD  10.8" 2560x1600 pixel アスペクト比 16:10
RAM  12GB
SSD  512GB
通信  Wi-Fi6、Bluetooth5.1
内部 I/F M.2 2280 (隠しポート)
外部 I/F USB3.2 Type-C x2、3.5mmヘッドホンジャック
バッテリー 28.88Wh (7.6V/3800mAh)
サイズ 244.5mm x 166.4mm x 18.5mm

 

■少々クセのある LCD

この PC の特徴として強く謳っているのが、パンチホール式のディスプレイを採用しているという。要するに、画面に穴があってそこにカメラ載せてるよ! と。別に、フロントカメラはいらんから余計な事はしないでくれるか? なんか四隅も丸くなってるし……。

実際の画面を見ると、デスクトップやらの左上の表示部が潰されてしまう。まぁ、使えないことは無いけど、かなり意味は薄いんじゃねぇかな。


売りのパンチホール。ただただ邪魔
Firefox だとピン止めした1つ目のタブが消える
Discord のチャンネル名は加工済み


で、そのカメラなのだが左端に寄っているため、キーボードに指を置いた状態でカメラをオンにするとこれまた左寄りになる。使用者を中央にとらえてくれないため、PC でメモを取りながら会議……という Web カメラを使う唯一ともいえる用途には向いていない。パンチホールだよ! と強調するのであれば、カメラは中央に配置してくれたほうがいい。まぁ、そこは液晶パネルメーカーとご相談というところか。

また、液晶が 360度回転し、タブレットスタイルになる。CHIWI では「Yogaディスプレイ」とか「Yogaスタイル」って言うけど、Yoga って言い始めたの Lenovo じゃね? それに、Yoga って一般的じゃないんじゃね? と思う。商標取ってなかったんかな?
天板の CHUWI のロゴエンブレムがすごく飛び出している。これがまた、タブレットスタイルにしたときに微妙にゴム足にぶつかる。底面のゴム足にぶつかるため、畳んだ時にロゴがない側がちょっと浮いた状態になるのだ。こういう作りの甘さが中華である。

無駄に盛り上がっている


なお、液晶のヒンジ部は結構固め。なので、使用しているうちにぐにゃぐにゃになるということはなさそうである。

液晶画面はタッチパネルになっており、指でのタップやスワイプが可能。てかてかのノングレア液晶なので発色は綺麗に見えるのだが指紋などは目立つ。また、別売りではあるがペンに対応しているという。Microsoft MPPプロトコルを採用しているとのことなので、Surface ペンが使用できるか試してみたところ、無事使用できた。やったぜ! お外でのお絵描き PC をゲットしたぜ! という感じである。描かんけど。
Surface ペンは Surface に固定できるのだが、MiniBook X だと無理。一応、くっついてはくれるのだが、自重を保持できるほど強力にはくっついてくれない。

Surface ペンは固定できない

せっかくなので、MediBang Paint Pro を入れてみた。無料のお絵かきソフトである。
ペンの素早い動きにはついてこれないが、通常の速度だと使えないことは無いという感じであった。レイヤーを複数枚使用してどんどん重いデータになった時どうなるかまでは使用していないが、数枚のレイヤーでちょっとしたラフ描きレベルだと使えなくもないか、という感じである。

ニャー

しかし、タッチパネルとペンの同時使用となると、マウスカーソルが想定外の場所に行ったり、変なところをクリックしたりという状態になる。もし、絵を描くとしたらタッチパネルは ON にならないように工夫が必要になる。追加のペン設定で、ペンの使用中はタッチ入力を無視するにチェックを入れれば多少マシになるだろうか?
完全にタッチパネルを無効にしたいのであれば、デバイス マネージャー から、
ヒューマン インターフェイス デバイス > HID 準拠タッチ スクリーン右クリックし、
デバイスを無効にする を選択すればOK。

タッチパネル無効化。ペンは使える


いじっていると、最初の 1秒ほどペンが効かなくなることが稀にあり、若干のイラつきを感じる。ペンの電池が切れかかっているのかは不明ではあるが、使えなくはないという感じか。
よく観察すると、画面にペンを近づけたとき、ペン(マウス)カーソルが0.5秒ほど出ない事がある。ペンを画面に近づけたり離したりで、ペン先の位置を取得するのにちょっと時間がかかる場合があり、その際の軌跡が描画されないということのようだ。なので、ペンを使う場合は、ペン(マウス)カーソルが出るぐらいに近づけて、画面に表示されてから使用すると大丈夫な模様。
……念のため、あとで電池変えてみるか。


■結構がんばっているキーボード

ちなみに私は日本語キーボード版を購入した。英語キーボードの配置をキーレイアウトそのまま日本語キーボードとしたので Enter周りが少々変態なものの、割と許容できる範囲となっている。正直、英語キーボードでもいいかと思ったのだが、ダブルクォーテーション(”)やアットマーク(@)、+ あたりの記号は使用頻度が高いので日本語レイアウトが用意されているのであればそちらの方がいいだろうと。

Enter 周り、|キーが若干変態仕様
数字の列のキーが若干小さめ


肝心のタイプ感はちょっと固め。とはいえ、完全なタッチタイプが可能だ。高級感はないが価格からみると十分だろう。数字のキーが少々小さ目なものの、ハイフンなどを押し間違えることはなかった。まぁ、日本語キーボードなどという変態配列に対応してくれというほうがわがままなのだろう。とはいえ、Surface Go のキーレイアウトを丸パクリでいいので Enterキーは2段にしてほしかったなーとか。でも、普通に使用する分には慣れてきた。

バックライトもあるので、タッチタイプができない一般人でも十分使い物になるキーボードだと言える。

キーボードバックライトあり


■インターフェースやストレージ

インターフェースは、右側に USB 3.2 Type-C が2口と電源ボタンがある。転送速度は 奥の方が Gen2(10Gbps)、手前が Gen1(5Gbps)相当であるというが、残念ながら自分で試せる環境は無いので、そんなもんだと思っていただきたい。で、充電するなら奥の充電・データ転送用ポートを使いなさいよとのこと。電源ボタンと充電用Type-C には状態確認の LED も用意されている。ACアダプタは写真では伝わりづらいが、結構安っぽい。廉価PC だからこんなもんだろうという。
左側には通常の 3.5mm イヤホンジャックと通気口がある。

左側はシンプル

電源ボタンはケーブルの脱着時に触れてしまいやすい


しかし、この電源ボタンをふいに押してしまうことが多い。キーボード内の右上にあるよりはましか? とは思うのだが、ヘッドセットや電源ケーブルの脱着時に数回は押してしまった。
また、電源ケーブルが右側にあるので、マウスを使用するときは充電しながらだとケーブルが邪魔。ケーブルの取り回しに気を遣う必要がある。

手前の Type-C ポートに HDMI 出力付きのハブを接続すると、無事LCD を使うことができた。奥の充電・データ転送用のポートに挿した際には画面は映らず、PC 自体からキーンと高周波が出たので、慌てて抜いた。怖いね!

また、タッチパッドだが、最近のタッチパッドは、どこでも押し込むことができ、そのままクリックになるものが多いのだが、MiniBook X では下部しか押し込むことはできない。中~上部を押し込むと、パッド自体は沈まず全体がたわむ。だが、軽くタップをするとクリックの挙動になるので特に困ることはない。Bluetooth もあるのでマウスを使ってもいいしな。

内部ストレージは SATA接続の 512GB の SSD となっている。まぁ、この値段で NVMe 接続なんぞ期待してはだめだが、512GB も載せてくれて感謝の極みである。

CrystalDiskMark の結果。SATA の数値としては普通


サイト上のスペック表には、拡張用として M.2 ポート(2242 SATA)、Microカードスロットとある(2022.8.29 現在)のだが、マニュアルには「1T M.2 2280(隠しポート)」との記載が。隠しかよ! そして 1TB までかよ! と。実際に使用するには検品シールを剥がして裏ブタを開ける必要があるため、保証が無くなってしまう。ここはまだ使い始めたばかりであるし、ストレージには不満はないため、機会があったらということにさせていただく。

裏のネジ穴の1つに封印がある


なお、本体には microSDカードスロットはない。もちろん、マニュアルにも Microカードスロットとか microSDカードスロットの記載はない公式サイトのみに記載されている。このいい加減さが中華メーカーである。

■ビジネスノートとしては優秀な使用感

ということで、実際の使い勝手であるが、とてもよろしい。Web や動画視聴程度であれば、まったく問題なく使うことができる。Office はついてないが、Microsoft 365 を個人契約しているのでインストールしてみたところ、これも普通に使うことができた。

ほか、ブラウザゲームとして雀魂をプレイすると、演出やアニメーションには多少の引っ掛かりはあるものの、それなりに遊ぶことができた。概ね問題なし。3D のゲームは無理だが、通常使いであれば十分である。スピーカーは価格相応だけどな。

ファンレスなのでそれなりに底面が熱くなるのだが、ちゃんと放熱ができている証拠である。正直なところ、ドンキPC の方が熱かったため、この程度の温度で使えるなんていいじゃん! と思った。

とか、このレビュー自体、MiniBook X で書いているのだが、もう充分慣れた。スペックは低めだが、十分な完成度である。

ということで、もう少々触ってみよう。

一時期流行った Vampire Survivors は普通に遊べる。無事 30分(1ゲームの区切り)いけた。残り数分のラッシュでは若干重く感じるものの、キャラ操作は問題ない。
2D のゲームは問題なく遊べそうである。

古い 3D ゲームということで、Serious Sam HD: The Second Encounter を試してみた。解像度が 1280 x 720 に自動設定され、60fps 出てないなーレベルのカクつきはあれど、普通に遊ぶことができた。さすがに、10数年前のゲームであれば、それなりに遊べるという。
だが、さすがに底面の熱さはすさまじいものであった。

次に Paladins である。さすがに、現行でサービスを行っている 3D オンラインゲームは厳しめ。やはり解像度を落とし、グラフィック設定を下げまくって、どうにかプレイできるか? と言ったところ。トレーニング場で若干の引っ掛かりを感じたので、実際に対人戦はきつそうである。

DiabloII Resurrected は厳しい。結構なコマ送り状態で通常の操作に影響がでる。ゲームしてる場合ではない。Window モードだと、マウスカーソルがある画面の半分のエリアが黒く点滅し、ゲームどころではなかった。なお、オリジナルの古いグラフィックモードであれば、はなんとかゲームができた。しかし、これもプレイどころではない。

OVER WATCH もこれまだダメ。設定を最低にした場合に動くことは動くのだが、トレーニング場でマウスの動きに 0.5秒ほど遅れて追従する。これはゲームにならない。

過疎げーむ


最後に APEX Legends をば……これは輪をかけて無理。すべての設定を最低にしても、射撃場で 10FPS も出ない。実質コマ送りで、操作自体も遅れて反応する頻度が高い。

とか偉そうに並べたが、Celeron の内蔵GPU でゲームをやろうなんぞ考えてはいけない。10年前のソロゲームはいけなくもないが、2D ゲームは何とか遊べるよねー。3D の FPS とかは全く動かないと考えていい。

■まとめ

ということで、CPU は少々非力だが、他は十分なスペックを持ったミニノートPC である。あくまでもサブPC であり、外で軽く Windows を使いたいという人にはマッチするだろう。なんというか、クラムシェルでタブレットスタイルになる Surface Go と言う感じだろうか。

CPU が Celeron N5100 としょぼいが、RAM 12GBストレージ 512GB と、CPU 以外にコストを割り振っており実用度が高い。UMPC とまではいかないが結構小型で、あからさまに安っぽくないため、結構な満足感がある。

バッテリーも、ベンチマークやら動画再生やらをやっていた際は 1時間で残り 70% 程度だったので、通信をしまくった使い方でも 3時間前後は持つだろう。公証値よりしょぼいのは予想の範囲内であり、3時間かーまぁ、いいかな? PDに対応したモバイルバッテリーがあればなお安心といったところか。

正直、為替レートの問題もあり、6万円前後のノートPC でよさげなものは少なくなってきている。たいていは、Ryzen 5 あたりの、RAM 8G、SSD 256GB のものがあれば上々という感じである。なので、13インチぐらいであれば、Lenovo の Ryzen機、小さ目の物が欲しいなら MiniBook X が安い。

金は出せないけどがっつり使いたいなら納期がクソな Lenovo でも選ぶがよい。商品ページで納期が 2週間ほどだったのだが、注文後に納期予定を2カ月と提示しやがったのでキャンセルした。……のだが、実際は 1カ月ほどで納品されるらしい。うるせぇ! 欲しい時が買い時なんだよ!

あれもこれもやりたいから高スペックなものが欲しい!」という人は、5倍の値段を払って Let's Note を買うとよろしい。

ということで、Amazon で値引きしてないときは 7万ちょっとだが、セール中は5万5,000円前後、そうでなくてもよくクーポンが配られており、1万円引きで 6万前後といったところ。結構月末とかにセールを行っているので、興味のある人はカートに入れてセール開始を待つのが吉。6万前後でも手に入れたいという場合は、クーポンはカートに入れたままだと配布されているかわからないので、定期的に商品ページを訪れよう。

なお、Amazon の日本語キーボード版のページは過去機種の使いまわしをしており、レビューやスペックは 14インチの安価なノートPC のものとごちゃごちゃになっている。なので、詳しいスペックを知りたい人は、公式サイトもあてにならないので最初のスペック表を見てほしい。

ほかに買うものというと、Bluetooth のマウスとか、Microsoft MP プロトコルに対応したペンとか、Type-C の拡張ドックやハブがあればいいかなーという。

予算が 6万円前後で、サブ機で、外に持ち出せて、そこそこ使えるノートPCがすぐ欲しい という人にお勧めである。


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