2022/09/10

冷凍果物王 ~ 人生初ドリアン

人生とは短いものである。人生が終わる寸前、存在は知っており、入手も可能で、食べたことがないものがあるというのは、心残りにならないだろうか? 賛否両論はあれど、称賛されることもあるというのであればなおさらだ。そう、私にとっては果物の王、ドリアンがそれにあたる。

ドリアンと言えば、その臭気から持ち込み禁止のホテルがあることと、一部からは絶賛される味。政治家の河野太郎氏が好む果物としても知られている。

ということで、発作的に冷凍ドリアンを取り寄せてみた。500g 二袋で 4,100円ぐらい!

大ぶりな果肉が嬉しい

なんというビジュアルであろうか。これが自然に作られた果実の中にあるとは。いや、栽培されてるんだから自然ではないんだろうが。人工物ではないという意味では自然なのだろう。

そしてこの香り。というか匂い。というか臭い。どこかで嗅いだことがある。前提知識無しで人生経験から導き出した答えは、「腐った長ネギ」であった。うん、これ、腐った長ネギだよ。長ネギは腐りやすいからな! と思い、検索してみるに、腐った玉ねぎという評価もあった。

ねっとりくりーみぃー

フォークで突き刺してみるに、ほろほろと崩れる。感触として近いのは半熟の卵だろうか。香りはやはりほんのりと腐った長ネギである。これを食べ物として認識した人はどえらいもんである。

しかし、そこまで抵抗は無く口に運ぶ。……なんか、不快な「これは食いもんじゃねぇよ?」という、生物としての危険信号が発せられた。

確かに甘いのではあるが、「甘い!」ってほどではなく、「言われば甘味があるかな?」という感じだ。ねっとりとした中に若干の繊維質も感じられ、例えるならば、水炊きの中でくたくたに煮込まれた長ネギ。ただし腐ってて吐き出すやつ……である。

えぇ~……これ、全部食いきるの厳しいよぉ? と思いつつ、たっぷり時間をかけていただいた。

本当に申し訳ありませんでした

正直、これは拷問の一つであった。セルフ拷問! だが、この 1袋だけで牛丼4杯や、ランチの握りセットは余裕で食えるだけの値段はするのだ。残すなんてもったいない! いや、うぅむ。

鍋の中のネギは美味い。正直、それだけでいいぐらい。旨味を吸ったネギなど、ご馳走でしかない。しかし、ドリアンはそれに加え何か「やばいっすよこれ?」という危険信号を伴うものであった。かといって、食べられないものではなく、とはいってすぐに飲み込めるモノでもなく、「これは高級なんだ これは高級なんだ」と言い聞かせて少しづつ飲みこむものであった。

しかし、これは冷凍品であり、本当に完璧に熟したドリアンは、果物の王様という名に恥じない味わいだという。なるほど、次回、積極的に試す時は、生で少量でちゃんと熟したものだな! ……という。

そう、なんとか自分に言い聞かせながら、冷凍庫にある残りの 500g のパックについて頭を抱えている。

見た目:バナナ色のうん〇
香り:腐った長ネギ
味:腐った水炊きの長ネギ

……もしかして、麺つゆかけて食えば旨いんじゃね?

 


 

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