■はじめに
6年も前に SIGMA 400mm/F5.6 APO TELE MACRO AF のレビューを書いたのだが、現在、このレンズはほぼ貸出用となっている。外見も買ったときからくっそ酷い状態なので手荒に扱われても光学系さえ問題がなければ気にしない、というようなものである。その借り手は、たまに話題にする元カメラ屋店員君なのだが、あまりにも頻度が高いため、たまたま 300mm F4 の出物があった時に教えてみた。まぁ、そやつが買わなければ洒落で買おうかと思っていたのだが、見事に買いおった。こいつアホだ(酷い彼はレンズ購入が私から買い取った以外は初めてなため、やはり喜び勇んでそのレンズの評価を得ようとググるわけだが、「猿EXの記事がトップに出るんだけど! 300mm じゃなくて 400mm だし! 貸すから 300mm のレビュー書いてよ!」とかぬかしやがった。こ、この小僧、俺をタダで使おうとはふてぇ野郎だ。てか、どんなキーワードで検索してるんだか。とはいえ、400mm の記事も、まだ定期的にアクセスがあったりする。不思議!
まぁ、折角だからネタにしてみようか。
所有者である友人の機材。D7100、300mm、オリンパスのドットサイト |
■今更ながらのスペックとかそんなの
さて、300mm F4 だが、400mm F5.6 マクロの姉妹レンズである。発売は 1995年 らしい。しかし、これらは直ぐに市場から消え、その代わり 100-300 の明るめでちょっとお高級なレンズとか、150-600mmとかに置き換わった(のか?)。なんというか、本当に時代の狭間に現れてすぐ消えていった面白レンズだったんじゃないかと思う(曖昧な表現にして、時代考証はしない流れ)。世代的に手振れ補正は無いのだが、その分(?)中古で物が出ても安い。ちなみに、発見した 300mm はレモン社で 2万1,000円であった。純正の旧製品と比べても格段に安いため、洒落で買える部類なのは強い。
最短撮影距離は 1.2m。最大倍率 1:3 |
絞りはF4.0~32。AF はボディ側モーターのため、D3000、5000シリーズではAF不可 |
マクロと名乗ってはいるが、最大撮影倍率が 1/3倍とそんなに大きくは写せない(400mm も同等)。望遠マクロで動き回る被写体を捉え続けるのはきついので、まぁ、こんなもんだろう。とはいえ 400mm の姉妹機であるからにして、やはりピントリングの範囲は狭く、最短撮影距離から∞まで約120度ぐらいである。400mm よりは被写界深度が深いのではあるが、やはりマニュアルフォーカスのみで戦うのはかなり辛い。もちろん、かなり古いレンズであるので、フルタイムマニュアルフォーカスもなく、がんばって AF に頼るしかない。SIGMAのレンズ自体、フルタイムマニュアルフォーカスがある物自体が少ないんだが(てかあったっけ?)。
ちなみに、SIGMA製の安ズーム 70-300 であるとマクロ域はマクロモードで 1/2倍、Nikon純正の 70-300 (数本あり)や 300mm F4.0 単焦点だと 1/4倍前後である。純正より寄れる望遠レンズ、ズームレンズより絞りも 1段分は明るいので、それがメリットと考えれば悪くないよね、ということで。
300mm と 400mm の比較。400mm、でかすぎ 三脚座、AFリミットスイッチも 400mm と同等 |
400mm マクロと比べると、もちろん焦点距離が短い分全長が短く、取り回しがしやすい。比べてみるとなかなかの長さの差がある。今はマイクロフォーサーズユーザーである私から見ると、どちらのレンズも「いらねーよ、でけーよ」って感じなのだが、フルサイズや APS-C ユーザーからであると「すごーい! なかなかバランスが取れたオールド(フ)レンズなんだね!」と言えよう(所有者がケモフレの重患者なので煽っていくスタイル)。「○日に動物園いかない?」とか言われて、動物撮影もいいだろうと了承すると、決まってケモフレコラボの動物園だったりするんでアレなのだ。気にせず動物をパシャパシャするからいいんだけど。
400mm を見慣れている為かバランスがいいように感じる 手前が D500、300mm。奥が D7100、400mm |
フードも 400mmと同じく内蔵式 しまう時に上からぱこぱこ叩いて引っ込める |
■使い勝手とか写りとか ~ 撮影サンプル
上にあるからわかると思うが、改めて。使用条件はニコン D500、つまり APS-C(DX)機でのレビューとなる。で、使用して改めて痛感したのは、いくらカメラ本体の常用ISO感度が上昇したとはいえ、今の時代に手振れ補正がついていないのはきつい。人間は立ち止まっていても常に微動していてバランスをとっているのだ。ファインダーを覗いたときに、ぷるぷると常に動いているのは少々、いや、かなりつらい。シャッタースピードもそれなりに速いはずだったのだが、結構な手ブレ画像を量産していた。撮影素子やカメラの性能も上がり、高感度を使用するのもそんなにためらわなくなった現在、被写体ブレが出ない程度のシャッター速度で使えば自然と手振れも抑えられるのではあるが、数枚撮ってはプレビュー確認をし、手ブレや被写体ブレの確認をしてがっかり、の繰り返しだった。
もちろん、手振れ補正未搭載以外にも注意点がある。
塗装が加水分解(時間が経つとべたべたになるやつ。一時期の Logicool のマウスなどが激しい)するタイプで、保存状態が悪いとひどいことになる。べたべたまではいかない状態であっても、塗装が軟らかくなり傷がつきやすくなる。その時は、商品価値が著しく下がるので気にせず使い倒すのがいい。
悪いことばかりではない。AFモードの時は、ピントリングはリミッターが解除されいくらでも回せる(フォーカスは移動しない)ので、手持ち撮影時に縦位置、横位置の切り替えがとてもスムーズに行える。これは 400mm と同じで、操作性はかなりよろしい。
画像サンプルは、D500 の RAW ファイルを Lightroom で読み込み、デフォルトパラメーター最高画質で JPEG で書き出したものである。各絞り値で同一の場所で撮ったサンプルの画像もあったのだが、ISO Auto にしたままだったので、絞った状態だと ISO1000 ぐらいになってしまっており、比較画像にならなかったので載せない。
ということで、肝心の画質なのだが、絞り開放時の画像がとにかくにじむ。正直、ドン引きした。1段絞って F5.6にしたときに結構改善するのだがまだ若干にじみが見られる。F8.0~F11.0 ぐらいが美味しい範囲だ。ISO100~200ぐらいでこのレンズ性能を活かして綺麗に撮りたいときは、屋外ですごく明るい状態でなければきつい。三脚を使える状態でなければ、手振れ画像を量産してしまうことだろう。
■まとめ ~ 出会えた奇跡に感謝です
「出会えた奇跡に感謝ですって追加しとくとゲームユーザーっぽさが出る」と言われたのだが、私はスマホ版ケモフレをプレイしてないのでどうでもいい。それに、この blog 自体、そのようなユーザーを対象としてないのだ。さてと。
ダブルズームキットレンズなどの望遠ズームの焦点距離は 70-300 あたりがほとんどである。なんとなく、という状態でわざわざこのレンズを勧める・買うということはありえない。市場に出回るのは中古品のみであるし。まぁ、写りは同値段帯(レンズメーカー製の新品 2万前後)の 70-300 の安ズームよりはいい(はず)。ズームレンズはボケが汚くなるものが多いのが、そこは単焦点。ボケがそれなりに綺麗である。まぁ、それなりの写りをしてくれないと何のための単焦点なのか、ということである。
いや・・・取り繕わず、正直に言おう。 この時代にこのレンズを積極的に選ぶ理由は皆無だ。
お金を出せるなら、素直に最初にダブルズームキットを選んで純正の望遠ズームにしとけ(ボディとセットだと安い)。単品で買うなら、最新の評判のいい、FXの 70-300 のズームならなおよし。値段も世代も違うので比較対象としてはいけないのだが、今のご時世、手振れ補正機能は必須、安いからと言って飛びついてはだめだ。
正直なところ「2万前後なら遊んでもいい」という人向けである。
先日EFマウント用を入手しましたが開放からかなりシャープで満足しました。
返信削除個体差もあるのでしょうか…
EFマウントを手に入れましたが、TvでもAvでもF4開放になりません。F5.6が上限、それ以上の明るさが必要になると、Tvでシャッター速度が下がっていきます。使えないわけではないので様子見です。
削除個体差以外にも、採用されているセンサーと撮影状態(光の強さ)、もしかしたらレンズの曇りから来るフレア? などが考えられます。
返信削除レンズの曇りについてはこのレンズではないですが、見た目は全く問題なくとも、マグライトなどで強い光を当てると曇りが見える、などという事もありました(買取査定下がった)。
現状ですと、Nikon の一眼レフは全て手放しておりまして、確認する手段がありません。
申し訳ありません。