2012/05/15

お手軽虫の目・円周魚眼アダプタ 魚露目8号

ドアスコープや小型カメラ用のレンズをボードレンズという。そして、このボードレンズを作っている中で比較的高画質な製品を出していたのがフィットである。あまりにも評判が良すぎて、コンパクトデジカメや一眼レフ用の製品として発売したというのが魚露目8号である。
虫の目レンズというのをご存じだろうか? まぁ、魚眼タイプのえらくひん曲がって写せるレンズ、という感じである。ひどい説明であるが一言でいうとそんなもんである。そのような効果をお手軽に試せるんである。

ちなみに、このレンズを知ったきっかけは旧猿の腰掛けEX を開いていたときに「デジカメとあそぼう」というサイトからリンクをしていただいた事である。いやぁ、全く、あれから何年経ったのであろうかっ!

まぁ、興味を持つつつ、購入がこんなに後回しになったのは、当時はメール注文による通信販売でしか手に入らなかったということである。最近になって、ネットショップができ、かなり入手しやすくなったのはありがたい。

ということで、さっそくレポートである。

■開封の儀
さて、わくわくしながら開封である。


ただシュレッダーのゴミをすてたかったのかと思える、過剰な緩衝材に守られて鎮座しておられる。


前カバー、後カバーなどは各 735円と値が張る。そりゃ、数が出ない製品だからしょうがないと言えるが、小さくても結構しっかりしたものである。


デジタル一眼レフにくっつけるためのリングアダプタ。とりあえず、標準的な 52mm を選んだ。しかし、未開封の時点で裏面が傷だらけである。表面はきれいなのに・・・。かなりがっかりである。4,500円もするんだから、ちゃんとしてほしいところではある。


レンズ本体。魚露目8号の最大の特徴は、そのレンズの光学性能である。普通、外周がびみょーんと色ずれをおこすのだが、かなりしっかりと補正されており、見た目の小ささからは想像できないほどにクリアに撮れる・・・らしい。そこいらはこれからじっくりと!
この魚露目8号本体をカメラに撮りつけるために、磁石のねじ込みリングがついているのだが、これが若干ガタつきがある。本当に微妙なぐらいなのだが、カタカタ動く。う~む。これは大丈夫だろうか?


■レンズにつけてみる
どうだ。この怪しい状態は。
GF2 に付けた例
リングアダプタはレンズ先のフィルタのネジの溝で、魚露目8号本体とリングアダプタの接続は強力な磁石となっている。これがまた、どんなに乱暴にぶんまわしても、何かにぶつからない限り外れることはないだろう。いや、ぶつかっても外れることはないのではないだろうか。取り外しには思ったより力がいる。どれくらい強いかというと、カメラに付けた状態で、魚露目8号をつまんで持ち上げる事ができるぐらいである。

ファインダーを覗くと、中央に覗き穴のように円周魚眼状の像が。ふむ。望遠側にズームすると・・・なるほど、この円が大きくなるのか。
先ほど指摘したガタつきだが、その影響で若干下向きになっているようだ。そんなに高い物ではないから、見なかったことに。

さて、標準ズームだとわりかし面白く使えそうだ。じゃぁ、望遠レンズ使えばどうなるのだろうか? ということで、早速ステップダウンレンズを買ってくる。
67mm → 62mm、62mm → 52mm の 2つである。1つ 525円なり (新宿ヨドバシ店頭


■どのレンズとの組み合わせがベストか? ~ レンズテスト
ということで、手持ちの適当なレンズを集め、簡単なテストを行った。
ボディは D7000 である。

■AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
ニコンの DX フォーマット(APS-C) 最廉価標準ズームである。安くて暗いが、写りは他のカメラ・レンズメーカーと比べてもかなりいい部類である。最短撮影距離が 28cm というのも短めで好感がもてる。というのはおいといて、組み合わせ例である。

18mm24mm
35mm45mm
55mm

18mm~55mm にズーミングしても、円の直径が変わるだけで、写る範囲はさほど変わらない。完全にケラレが無くなることはないが、魚眼の変形を楽しむなら、円の直径が上下幅にかかる 35mm 前後が一番バランスがいいだろう。
最初に試したのがこのレンズということもあり、これが標準だと思っていた。


■AF-S DX NIKKOR 18-105mm f/3.5-5.6G ED VR
D90 の発売と同時だっけか? とかそれぐらいに発売されたズームレンズである。35mm 換算 28~150mm ぐらいでとてもバランスがいい。仲間内や家族のスナップ用ならこれ 1本! と言えるのだが、最短撮影距離が 45cm と長く、私の場合はあまり出番がない。フィルター径が 67mm なので、ステップダウンリングを2 枚用いている。

18mm24mm
35mm50mm
70mm105mm

てっきり、18-55 と同じだと思ったら全く違い混乱した。ズーミングしても、像の円の直径は 18-55 ほど変化はなく、像の中の画角が激しく変化する。

ゾナーやらガウスやらのレンズ設計の違いなのだろうか。私は、あくまでユーザーの立場なので「このレンズはこの設計だから~」とか大それたうんちくは語れない。


■Ai AF Nikkor 24mm f/2.8S (製品紹介が消えたため URL は D タイプレンズ)
所有しているのは、リンク先の D レンズではなく S レンズである。レンズの構成は変わってないので参考に。ちなみにカメラに付けると、レンズとボディの大きさのバランスがとれていて、とてもかっこいいのだ。このスペックの G レンズ出ないかな。

まぁまぁいい感じだが、像の直径が小さい。また、被写界深度が浅い。もっと絞るべきだったが、画角としてはこれぐらい。


■AT-X M35 PRO DX
Kenko-Tokina の APS-C デジタル一眼レフ用のマクロレンズである。AF はボディ側のモーター駆動であるため、D5000 シリーズ以下の機種では AF が動かない。D7000 なので問題はないが、MTF 曲線を見る限りでは、純正の AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G のほうが写りがよさそうではある。


像の直径が 24mm よりは大きくてよい。試したの単焦点レンズの中では、一番バランスがいい。なので、純正 40mm マクロのほうがよさそうな気がしないでもない。しかし、所有している友人の評価はいまいちなのでアレ。レンズがかなり繰り出すので美しくないんだよね (話しが大幅に脱線


■AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
定番の 60mm マクロ。写りにかなり定評がある。しかし、虫メインの私には、ワーキングディスタンスをもっと取りたいので、やはり出番が少ない。

フィルター径が 62mm なので、ステップダウンリングを用いている。
左右のケラレが残っているのはいいとして、像の滲みがひどい。実用範囲を超えており、組み合わせる意味は皆無と言えよう。

■AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
私のメインのレンズである。やはり、虫と戦うにはこれぐらいなければいけない。大量にレンズをもっていくものの、結局これしか使わない、という時が少なくない。まぁ、それはおいといて、フィルター径が 62mm なので、ステップダウンリングを用いている。

像の滲みが 60mm よりひどく、見るに堪えない。つまり、魚眼アダプタを中望遠以上で使うのは意味がないということか。ということで、これ以上の焦点距離のテストはパスとすることにした。



■コンパクトデジカメで利用してみる
さて。手持ちの COOLPIX S640 で使ってみようと。
レンズの先端に魚露目8号を持っていくと、ちょっとだけ磁石でひっつくのだが、固定できるほどではない。

両面テープ付き金属リングなるものが売られてはいるのだが、標準付属品となっている。いや、ついてないんですけど! なんか、コンデジの先に両面テープでひっつけて、そこに磁石で魚露目8号をくっつけるものに見えるんだが、どうなんだろうか。

まぁ、それはおいといて、手でレンズの前にぴっとりとくっつけて撮影してみた。
18-55 と結構似通った感じで、ズームをテレ側にすると像の円の直径が広がっていく。手に持ったままでないといけないが、これはお手軽でよい。ちなみに、若干だが磁石でひっついた。やはり、レンズ前面に磁石にくっつく金属を配置してほしい物である。とか適当な事を言ってみる。

磁石の力をかりつつ、手で支えてやればいい感じになる
ズーム位置を調整。かなりいい感じ


■総評
円周部の銀色の金属部分と思われるものがうっすらついてたりするが、もともと安いものだから許す。

一眼レフで使うなら、標準域がいい。ただし、レンズによってズーム時の挙動が違うため注意が必要。私の場合、手持ちの組み合わせなら、 18-55 か、35mm がよさそう。
しかし、コンパクトデジカメとの組み合わせが一番いいかもしれない。ボードレンズ系としては、比較的高画質だが、やはり画質は劣化するものであり、コンデジでも十分。被写界深度も深めになるし、取り回しが楽といい事づくめではないだろうか。

単なる円周魚眼アダプタとしては安くていい。お手軽に妙な写真をネタとして撮るには、バランスのとれた価格である (アクセサリー類は高いけど)。実際、他社製での円周魚眼アダプタは、数万するものがあったり気軽に手を出すことができない。
しかし、虫の目レンズってこんな感じなのかな。被写体がある程度大きく無いと、パースがでーんとついた面白い画像にならない。Web 上の作例もカマキリとか大型のものばかりだし、やはりそんなもんなのかな、と。
とはいえ、マクロ野郎の私にとっては、面白いおもちゃを手に入れた、という感じである。接続元となるレンズが標準ズームでも、レンズ前ぎりぎりまでピントが合うという。
さて、これを使ってどんな変な写真撮ろうかな~ ということでひとつ。

※友人宅にて


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