TG-5 は、オリンパスの発売する、水中をはじめ、厳しい自然条件でも対応可能なコンパクトデジカメである。Tough(タフ)シリーズだしな!
さて。前機種 TG-4 はその前の TG-3 とほぼ同じデザインで機能も小変更ぐらいだったのだが、差額が1万円ぐらいあった。これは買い替えるに値しないと判断し、スルーした。ちょうどそこら辺の時代で、各メーカーともコンデジの価格競争に疲弊し、撤退したり、機種を絞って値上げをしたりした時期なのだ。
今回、TG-5 を 買ったのは・・・何で買ったんだっけ。普段使いのコンデジを買い替えたかったからか。手元にあったコンデジが、GXR や Coolpix S640 ぐらいしかなく、いかんせん古くてもうちょっといい物が欲しかった時に発表され、タイミングが良かったから? みたいな。
何にせよ、欲しい時が買い時である。TG-5 はデザインから機能から結構変更されたというが、買ってみてから改めて買ってよかった、と思える久しぶりのいい物であった。
ということで、いつものように買ってから数か月経ってからレビューである。
TG-5 とレンズアクセサリ 2つ |
■変更点てんこもり ~ 新 Tough シリーズと言っていい大改良
ズームレバー位置変更ズームレバーがシャッターボタンと同じ配置になった。
TG-4 まではズームレバーは独立していたのだが、右上面という独特の位置だったため、咄嗟にズームするには慣れが必要だった。普通のコンデジによくみられるシャッターボタンと同じ位置にズームレバーが配置された。これは、とっさにズームができ、直ぐに撮影に移れ、操作性が向上したといえる。
シャッターボタンとズームレバー 右のダイヤルはモード毎に挙動が異なる。露出補正だったり絞りだったり |
画素数が従来の1600万画素から1200万画素まで落ちた
画素数が低下した分、画質が上がっているんじゃないかという話。画像エンジンも進化し TruePic VIII という、E-M1 Mark II と同じものになり、1段分はよい画質が得られるようになったらしい。まぁ、よろしいのではないでしょうか。
遠景を写すと、木々の葉っぱの部分がもやもやっとしていたのだが、結構解像しているように見えなくもないが微妙。「コンデジとしてはいいレベル」まで画質が上がった、という感じだろうか。
このようなレンズが飛び出さないタイプのレンズは撮影素子とセットのユニットとしてメーカーに販売されているので、オリンパス製ではないはずである(が未確認)。がんばれレンズユニット作ってるメーカー!
画質については後述する。
プロキャプチャーモードがついた
シャッターボタンを押す前の数コマも保存するという、E-M1 Mark II にもついているあの機能である。TG-5 は 5枚程度であるが(E-M1 Mark II は 14枚)。しかし、コンデジだとワーキングディスタンスが長く取れないから、あまり使う事はないんじゃいかなー、とは思っている。近寄っても逃げない虫相手ならいけるだろうけど、それだと普通の静止画モードで十分だし、動かれるとピント自体合わせるのも苦難である・・・みたいな。望遠も 100mm 相当と、中望遠レベルであるし。まぁ、ないよりはいい。
多分、花とかそういう虫が寄ってくるところで待ち構えるのなら使えそうである。しかし、誰かが素晴らしい作例を出してくれたら「やっぱり、TG-5 のプロキャプチャーモード、最高だよね!」とか言いそうである。
レンズが曇りづらくなった
なんか、ダブルガラス構造を採用し、ガラスが曇りづらくなったらしいぞ? 温度差が激しいところへ移動した時に、時間をおかなくてもいいというのは良いことだが、TG-3 の時も、あまり曇った覚えがない。
PCとの接続が microUSB に変更
これまでは変な形だったが、Androidスマホなどと同じ microUSB になった。旧製品も何か規格名がちゃんとあった気がするが、オリンパス製品以外では見たことが無いのでアレ。ということで、USBケーブルで充電するタイプのカメラなので、充電時の汎用性が格段に高まった。このカメラの特性上、屋外で使う事が多いだろう。そのため、万が一外出時にバッテリーが切れてもスマホの充電器があれば OK。最悪、コンビニで充電器からケーブルまでそろえられるのは大きなメリットと言える。
しかし、ケーブル接続時に、いちいちメニューで充電を選ばないといけない。とても面倒である。データ通信をしない状態であれば(ACダプタやモバイルバッテリー接続時など)、自動で充電モードにしてほしいものだ。
レンズアクセサリーがロック可能に
レンズ周りに装着するアクセサリー用にロックボタンがついた。
TG-4 まではとても外れやすく、TG-3 を使用しているときも、何か地面に落ちた音がして目を向けるとLED照明のマクロリングが落ちていた・・・ということが少なくなかった。ちなみに、私が TG-3 で使っていたマクロ用LEDリングは、現在浜名湖の底に眠っている。
だが、ロックボタンがついたことで、おいそれと外れる事はなくなった。これはとても良い改良である。で、折角なのでストロボを拡散するアクセサリーを買ってつけっぱなしにしている。結構なお値段がするのだが、何かにぶつかるとすぐ傷つく、汚れる。しかし、それが活用している証なのだ! と、自分を納得させる。
ほか、GPS機能とか高度計とかそういうのもあるが、私は全く興味がないので触れていない。ほら、バッテリー節約したいやん?
とりあえず、私の使用条件に関わる、大きな変更はこれぐらいか。
■よし、撮影だ! ~ 圧倒的なマクロ機能とそれなりの画質と最高な機動力
強力なマクロ機能と豊富なマクロ用アクセサリーアクセサリーは従来のマクロ用ストロボ拡散用 FT-1 と、LED照明の LG-1 を使用している。マクロ撮影を多用するなら、どちらか 1つは買った方がいい。
LG-1 使用時は、顕微鏡モード+LED照明にしてそのままカメラを被写体にくっつけると、最短撮影距離ぐらいになるので、とてもよろしい。無駄に床やら硬貨やら自分の肌を撮影したくなる。暗い場所だと、最短撮影距離に近い距離でないと光量が不足してしまうので注意。
FT-1 は、ストロボ使用時にメニューで使用設定で選択する必要があり、ちょっと面倒。そこまできれいに映るようになるわけでもないし(明かりが正面からリング状になるため、反射した部分がかっこ悪い)。さらに、LEDが使用できなくなるという。しかし、メニューで FT-1 を選択せずにLEDを使うと、露出はアンダー(-2 ぐらい?)になってはしまうが使用できないことはない。ストロボも専用モードではないのでとても弱くなってしまう。単に、FT-1 使用時でも LED 設定がグレーアウトしなければいいのだけどな。ということで、シーンに合わせて使用していくのがよろしい。
左が FT-1、右が LG-1 正直、LG-1 のみで良かった気がしないでもない |
FT-1 が厚過ぎ。FT-1 は明るいところ用、 LG-1 は暗闇でも(マクロ域なら)可、という感じ |
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100円玉を顕微鏡モードの最大倍率、FT-1 と LED照明で撮影 LG-1を使用していないのは、室内で行方不明中だから orz |
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そういえば、深度合成はサイズが小さくならずに 1200万画素のままになったよね、 と本文中では触れず、しょぼいサンプルだけを紹介する。被写界深度が深くなるよ! |
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顕微鏡コントロールモードの最大倍率 44.4倍で、22インチ LCD を写してみた このモードの際は、アスペクト比が 3:2 になる。謎い |
OKボタン長押しで、中央部分の範囲で AFエリアが指定できました。
思ったより使えたRAWファイル
センサーサイズが 1インチに満たないコンデジは、RAW で写すより、素直に JPEG での最高画質にすればいい、と GXR + P10 という組み合わせを使用したときに痛感した過去がある。それだけ元の RAW が腐っていたのだ。どうせ TG-5 も同じだろう、と思っていた。実際には画質が上がったのなんだのという記事が多くみられたが、結構、遠景の葉っぱとか入り組んだところもやもやだよ? と、「お前は何を言っているんだ」という状態であった。
しかし、どうせサンプルを上げるなら、RAW も試しに撮ってみよう・・・と。
正直、輝度ノイズは JPEG Super Fine と比べても似たり寄ったりで、ISO100 といえど粒状感は高い。しかし、JPEG では潰れていた細部が思ったよりも解像していた。葉っぱの集合体とかレンガとか、コンデジにしては頑張ってるじゃん! と思った。RAW はホワイトバランスやシャープネス、コントラストなどのをそれなりに調整、レタッチすれば、よさげな結果が得られそうだ。
個人的にではあるが、オリンパスはミラーレスデジカメも含めてJPEGは最高画質にしても、モスキートノイズ(画像圧縮時に、輪郭付近に見られる画像の乱れ)も目立ち、あまり画質高くないかも・・・と思っている。 TG-5はコンデジだからあまり深く突っ込まないことにする。
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JPEG Super Fine | RAW → Lightroom のデフォルトパラメーターで書き出し |
さて、TGシリーズの最大の特徴は、何といっても水中で使用できる、ということである。
いつも磯で遊んでいて、水上から見える範囲での水中撮影ばかりだったのだが、この夏はシュノーケリングをしよう! ということで、シュノーケリングベストとか色々買い込んでお盆に帰省した。
磯遊びをしている親子連ればかりなのに、ベスト着こんで一人で沖方面を目指すおっさんはとても場違いかもしれない・・・と思ったが、これがまた、とてもよかった。
基本足の着く範囲での活動だったが、水上からは見えなかった海の光景が広がっていた。浅瀬でもたくさん生き物がいるんだねぇ・・・
正直、バッテリー残量がきついのではないかと思っていたが、電池のメモリが1つ減るまで約2時間半(メーカー保証は水中連続使用は 60分なので注意)。それまで延々と水面を漂っていた。おかげさまで、ふくらはぎの日焼けがやけど状態になり、2日ほどまともに歩けない羽目に。上半身は山用のドライ系半袖+シュノーケリングベスト、下半身は丈の長い水着だったため、被害はふくらはぎだけだったのが不幸中の幸いではあった。これも、バッテリーの持ちが良過ぎるのがいけない! 日焼け止め大事! 次回はウォータープルーフの日焼け止めを買わねばなるまい。いや、シュノーケリングの話ばかりしてもアレだ。
すいません、水中モードでもマクロモードを含む、複数のサブモードがありました。が、顕微鏡モードほど接写はできない模様。
ISOはオートにしておいた。岩の下を撮影するには ISO がぐーんと上がるが、日向だと ISO100 になる、という傾向であった。もちろん、動きの速い生物や、強い波が来た状態だと手ブレ、被写体ブレを量産してしまう。やはり 1被写体に数枚撮影は基本である。
ということで、初シュノーケリング撮影だったがかなり満足できた。海藻が茶色ばかりだったけどな。
(秋田県男鹿市鵜ノ崎海岸)
以下のサンプルは、JPEG Super Fine、ISO AUTO である。
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浅瀬のウミウチワ。茶色い海藻が多く、美しくはない |
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定番のウミウシ |
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メバルの子供 |
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ウミタナゴの群れ |
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多数いたアンドンクラゲ。俗称、電気クラゲ。結構刺される人が多いらしい |
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ヒラメ |
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ナベカというギンポの一種。黄色が綺麗 |
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イトマキヒトデ。サポニンを多く含むため、食用には適さない |
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シロウミウシ。ここら辺にいるなんて知らなくて大興奮 |
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アオウミウシ。ここら辺にいると聞いていたが初めて見た |
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カニさん。ヒライソガニだと思われる |
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エビさん。モエビの一種ですかね |
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フグさん。人の小指をエサと間違えてつついてくる。結構いたい |
Flickr はこちら
■まとめ ~ 次の夏が待ち遠しい一台
正直なところ、水中撮影可能なコンデジは、各メーカーとも画質が犠牲になっていたと思う。しかし、この TG-5 は通常撮影もこなせるオールラウンダーである。ほか、一般的な視点で見ると、レンズが 4倍ズームのため望遠側が弱いか? 正直なところ、8~10倍はあってもいいかなーとは思う。とはいえ、ズーム比が大きくなると画質が下がる傾向が強いので、TG-5 はバランス重視であると言えよう。物は言いようである。
しかし、性能ではない大きな欠点がある。実売価格が5万円前後と、結構お高いのだ。発売直後はポイント付き量販店で 5万円、ポイント無し店舗だと 4万5,000円ぐらいだったのだが、9月現在、生産調整のためか品薄で、5万円台前半から高値に推移している。それに、マクロ用アクセサリーとか追加購入すると、くっそ安い一眼レフなら買えてしまう。
「水中撮影ができるコンデジに 5万出せるか」
が一般人の購入の分かれ目だろうか。
本格的な水中撮影を行おうとすると、5万で収まらないだろう。しかし、必要最低限は 5万でいける! と納得できるかどうか。
防水機能が 15m まで、というのが本格的なダイビングをする方にマッチしているかは謎ではある。一応、さらに 45m まで対応する防水プロテクターも用意されてはいる。
そこまで水中撮影に意気込んでるわけでもなく、仲間内と海でキャッキャウフフしたいなら、もっと安めのカメラでも十分かもしれない。直接のライバル機である RICOH WG-50 なら 3万円前後である。マクロモードでの LED もアクセサリを追加購入せずに使えるのは大きい。昔は WGシリーズも使っていたので、画質以外はお勧めできる機種と言ってもいい。・・・というのは、画素数が旧製品と同じ1600万画素のままだし、想像上でしかないが旧製品と同じレンズユニットを使っているだろう。正直、このタイプの1600万画素の画像はよろしくない。そのため、画質の向上は望むほどでないと思われる。また、上位機種は 1桁の型番だったのだが、現在は 2桁の廉価版しかラインアップされていない。なので、WG の一桁シリーズが発表されたら、初めて同じ土俵に立てる(直接のライバル機)と言っていいのではないかな、とか。ちょっと最近の RICOH さんを見るに、難しそうだけど。
ということなのだが、TG-5 はおっさんのシュノーケリングのお供としては優勝であった。通常使いもこなせるし、マクロもコンデジの中では最強である。
値段以外に使っていて気になるところを挙げるなら、
- 充電時にメニューを選ぶ必要がある
- マクロモードを使いこなすには接写アクセサリー必須
- 液晶が固定(チルトならなおよい)
ということぐらいか。
琴線に触れたら買え・・・と言いたいところだが、あれだな。もう夏は過ぎたな。
よし、南国に旅行するなら今でもいいから買え。
直ぐ使わないなら冬場になって、5万円を切ったら買え。冬場に雪の結晶とか撮影できるぞ。
多分、TG シリーズは 2年サイクルだと思うから、来年の夏もいい感じで使えるぞ。
ということでいかがでしょうか。
よし、南国に旅行するなら今でもいいから買え。
直ぐ使わないなら冬場になって、5万円を切ったら買え。冬場に雪の結晶とか撮影できるぞ。
多分、TG シリーズは 2年サイクルだと思うから、来年の夏もいい感じで使えるぞ。
ということでいかがでしょうか。
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